シンポジウム「介護保険制度見直しを検証する」の議論より
コーディネーター 亀井克典(かわな病院)
11月28日というタイミングは、見直し議論の終盤にさしかかるところであり、このテーマで議論する時期としてはちょうどタイムリーであったように思います。午前中の中村秀一老健局長のお話の中では、介護保険の対象年齢の引き下げについて、厚生労働省としてはあきらめずに粘っているという事(その後の報道では先送りとなりましたが)と、介護予防給付と介護給付の併給は原則として考えていないと明言した事、年金制度改革の中で意外に知られていない点として、社会保障給付の年金、医療、介護・福祉の割合を現行5:3.5:1.5から、2025年の時点で4:4:2という大枠変更が決まったという事などが興味深い点でありました。
この講演を受けて、午後からは、介護保険の現場で活躍されている4人のシンポジストにご参加いただき、それぞれの立場からのご発言をいただきました。
今回のシンポジウムでは以下の8項目の論点を軸に議論を深めたいと考えました。
@ 痴呆ケアの位置づけと今後の取り組み
A 障害者支援費制度との統合など、障害者介護と介護保険の関係
B 要支援・要介護1の方々に対する介護予防の導入と従来型介護給付の制限
C 急増する独居高齢者の在宅ケア
D ケアマネージメントのあり方と「地域包括支援センター(仮称)」の役割
E 今後の施設サービスのあり方について
F 介護保険財政の見通しと安定運用の方途
G 自己負担増や若年者への介護保険料徴集の是非
シンポジストの方々には、全体の論点を意識しながら、小規模多機能ホームきなっせ代表の川原秀夫さんには特に@、C、Eについて、名古屋市会議員の斉藤まことさんにはA、F、Gについて、株式会社ニチイ学館取締役北村俊幸さんにはB、Cについて、社会福祉法人青山会副理事長西元幸雄さんにはD、Eについて中心にご発言をお願いしました。
それぞれの方々のご発言趣旨については、本号にご寄稿いただいておりますので、ご参照下さい。
午前の講演が長引いた事もあり、シンポジウムの時間が15分程度短縮となってしまい、フロアーとのディスカッションの時間が十分取れなかった点が残念でした。
議論したくてできなかった点でいえば、介護予防給付の中身について、具体的に明らかになっていませんが、巷間伝えられているように筋トレ中心のメニューになるとすれば、短期的効果はともかくとして、それが本当に中長期的に介護保険給付の抑制につながるのかどうかや、それに乗らない痴呆老人やそのようなサービスはいやだといって拒否する「怠け者(?)老人」に介護給付の併給がないとすれば、サービスの谷間に落ちてしまうのではないかといった問題があります。筋トレを強制するなど、「健康ファシズム」ではないかという声すら上がっています。
また小規模多機能施設の理念は良しとしても、実際の運用では、大規模施設に比べてスケールメリットが出しにくく、高コストになるのではという懸念もシンポジストとの打ち合わせでは出されておりました。
本稿を書いているさなかにも、介護施設の居住費負担が、来年10月から実施される事が大臣折衝で決まったとの情報が入りました。これで2005年度の介護保険への国庫負担支出は約420億円減少するそうです。
美辞麗句の改革案の本質は、財源問題であるということをしっかり意識しながら、今後も改革の具体的な中身について検証する必要があるのではないでしょうか。
そのための第一歩となる機会として、今回のシンポジウムが、参加者の皆さんのお役に立てたとしたら、幸いに思っております。

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