介護保険の見直し:痴呆介護制度化される「小規模多機能型居宅介護」

                  川原 秀夫(グループホームきなっせ)

 介護保険が導入されたとき、自宅であるいは地域の中で暮らすことが可能になると期待された。それが介護保険の狙いでもあった訳だが、実は施設待機が増加し「施設が足りない」といわれている。介護保険導入後急速に増加した痴呆性高齢者グループホームも残念ながら小さな施設と化しているところも多い。しかし、利用者は施設に入居したいのだろうか。ほとんどの人は「施設に入りたくない」と応える。だが「しかし」と続く。「自宅では不安だ」「自宅で暮らすことは家族に迷惑かける」等々の理由で仕方なく施設に申し込む。しかも施設は待機者が多く入りにくいとのことで早めに申し込み、順番がきたらまだ自宅で暮らせるにもかかわらず施設に入居する。本人も家族もまだ自宅で暮らしたい、暮らさせたいと思っても現在の介護保険制度のなかでは困難となっている。こうした状況に対応するひとつが制度化されようとしている「小規模多機能型居宅介護」である。
 この「小規模多機能」は、目の前の要援助の高齢者、多くは痴呆性高齢者を通い(昼間ケア)を基本に、泊まり(夜間ケア)や自宅へ出向いての訪問ケア、最後の選択肢としての住まいを状況に合わせて、適切にかつ柔軟に提供してきた宅老所の取組が発展したものである。
 制度化にあたっては、自宅から切り離し移り住む「住まい」から始まることを防止するために、「小規模多機能型居宅介護」には「住まい」は含めないことになりそうで、併設の住まいは痴呆性高齢者グループホームや小規模な介護専用特定施設などに限れることとなった。この小規模多機能の制度化で、可能な限り自宅であるいは地域で暮らすことができるようになればと願っている。すなわち困ったその時に対応が可能で、しかも24時間365日の安心が得られる、これまでの施設の機能と同じことが地域の中でも受けられることとなって欲しい。そのためには、痴呆ケアの質が問われることになる。
 更に、小規模多機能は、痴呆ケアの拠点だけでなく地域ケアの拠点でもある。地域は困っている方々を支える面と排除する面との両面を持つ。例えば、痴呆の人に対して「痴呆の人がいると不安、早く施設か病院にいれなさい」となるのが現在の地域である。痴呆は恥ずかしい、人生終わり、恐ろしい等々の意識があるので、これを変えていくことも課題である。地域の住民が自ら、自宅に住み続けられるようにその地域で取り組むことも問われている。
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