介護保険制度の見直しと介護予防
厚生労働省老健局老人保健課 三浦公嗣
1.介護保険制度見直しの経緯
2000年4月に施行された介護保険法においては、施行5年後の見直しが規定されていたことを受け、2003年5月に社会保障審議会介護保険部会が設置されるなど、見直しの内容等について検討が進められた。
その結果、同部会は、2004年7月には「介護保険制度の見直しに関する意見」をとりまとめた。なお、被保険者・受給者の範囲については、上記の「意見」において積極的な考え方と慎重な考え方が併記されていたこともあり、同部会は引き続き検討を続けたが最終的な結論を得ることができず、引き続き検討を行うこと等を内容とする「『被保険者・受給者の範囲』」の拡大に関する意見」が2004年12月にとりまとめられた。
これを受けて、「介護保険法等の一部を改正する法律案」が2005年2月8日に国会に提出され、6月22日に成立し、同29日に公布された。
2.介護保険財政の現状
制度施行後の被保険者・要介護認定者数の推移においては、被保険者数の増加に比べ、要介護認定者数の増加が著しく、介護保険財政は、年10%を超える伸びとなっている。このため、制度の持続可能性をいかに確保することができるかという点が課題とされている。
3.介護予防から見た介護保険制度の課題
制度施行後に見えてきた課題として、死亡の原因疾患と生活機能低下の原因疾患とは異なること、軽度の要介護者が急増していること、介護予防の効果が上がっていないこと等が指摘されている。
4.介護予防に関する見直しの概要
見直しにおいては、軽度者(要支援1及び2の者)のために「予防給付」、現在は要支援・要介護状態になっていないがそのおそれが高い者に対して地域支援事業における「介護予防事業」が実施される。
予防給付は、既存サービスを見直すとともに、新たなサービスを追加し、合計16種類のサービスの中から、高齢者の選択に基づいて提供される。
現在、軽度者によって利用されるサービスの大部分を占めている訪問介護・通所介護・通所リハビリテーション・福祉用具貸与については、要支援・要介護状態の改善に向けて内容を見直すこととなる。
新たなプログラムとして加わる「運動器の機能向上」、「栄養改善」、「口腔機能の向上」については、それぞれ組み合わせて、基本的には介護予防通所介護や介護予防通所リハビリテーションにおいて実施することを想定している。これらのサービスにおいては、「機能向上」自体を目標にするのではなく、日常生活における「自己実現の達成」を真の目標とし、それを支援するための手段として捉えることが求められる。予防給付及び介護予防事業に関するケアマネジメントにおいては、特に利用者の改善可能性に着目して、「していないこと」や「できないこと」を外部のサービスで補うだけではなく、できる限り「していること」「できること」を増やすように努めることが重要である。なお、これらのケアマネジメントは市町村が設置(委託も可能)する地域包括支援センターが実施(業務の一部を委託することは可能)することとなる。
