地域医療研究会・シンポジウム「新臨床研修制度を検証する」
2005年2月27日 大和眞史(諏訪赤十字病院)
今回の臨床研修制度変更のポイントは、プライマリケアと全人的医療を重視した卒後2年間の初期研修を必修化し、その舞台をマッチングを行うことなどから大学病院以外へ広げていくことにあると理解した。
私のスタンス:卒後母校内科入局してストレート研修の下に狭く深く、確立された確固たる教授の力の下に神経学の訓練を受け、3年目から循環器病センター・レジデントを経験した。大学医局で学生や若手医師の相手をするようになって、大学医局をベースにした研修は、武者修行に乏しく、病院全体としての風通しが悪く変革が難しく、研究業績偏重で、研修と位置付けられない雑用の多さが問題と感じられた。内科ローテートでは、その科に入るのではない医師に対してどうしていいのか分からず、お客さん扱い、教えない、が横行し、結局は入局者確保だということになった。徒弟制度的教育で、医学教育原理が不在、それはクリニカルクラークシップの形骸化にも通じている。そこで新医師臨床研修制度を前に、平成11年から大学病院を中心としたスーパーローテーションと卒後研修ワークショップを始めた。
長野県に若い医師が来てくれるためには、信大病院で研修していた70人が半減したらその受け皿がなくてはならない。しかし、受け皿となる病院の多くは新卒医師を受け入れたことがない。何が起こるのか?スポイル? プライマリケア・全人的医療をやれていない医師が指導医になれるのか?一緒に新しい医師像を求めていかねばならない。しかし、古ぼけた専門医性にこだわっている、といったことに問題を感じた。
平成15年4月に現在の病院に移動し、医師卒後研修について必要とする要件について再点検。
1. 基本理念にのっとった研修プログラムを確認しホームページに
2. 医療安全管理、患者病歴管理、医局内に研修医スペース。図書室を利用したリファレンス機能などサポート体制の確認
3. 研修医定員を6人から8人に増やした。マッチングへの参加を決め、学生エクスターンを実施し15人迎え入れた。平成15年秋、14人応募あり、16年秋も16人応募であった。16年度採用者で国家試験に2人落ち、更に研修開始後1名が健康問題で中断したことから、採用に当たって国家試験程度の学力確保と研修を続けるための心身の自己管理ができるかを面接などで確認する方針をとった。
4. 研修医の処遇を確認;給与を医師確保手当てなどをはずして、30万円ギリギリに抑えた
5. プログラム責任者と研修管理委員会を整備、救急医療・臨床病理検討会などの整備を確認し、信大と佐久病院の卒後研修ワークショップ、臨床研修指導医養成講習会に指導医を派遣した。
6. 研修オリエンテーション;平成16年5月6日から信大病院へ参加、10日から病院内で引き続き実践重視(病棟、採血、BLS・ACLS)で実施した。
7. 研修医のための勉強会やカンファレンス。若手医師に協力要請(屋根瓦方式に近づくよう)。新患回診:月曜・木曜、8:00〜8:30〜9:00、新患入院について、カルテ・全資料を持参、原則としてチャートラウンドのみ。その後に一緒に患者回診。Morning Report;火曜、 7:15〜8:00、講義室case-based educational conference、Diagnostic dilemmas, difficulties in management, rare illnesses, and unusual presentations of common diseases Journal club;水曜、7:15〜8:00、場所;研修医コーナー、一流英字臨床一般誌から初期研修、プライマリケアに相応しい原著論文を、批判的に紹介する。EBMの実践:PECO、文献検索、種々のリファレンスの利用、Critical appraisal、患者への応用、New England Journal of Medicine CPC and Clin Prob Solving NEJMのcase record、clinical problem solving, Review article;毎週木曜日、 7:15〜8:00
評価方法の検討 、研修医と指導医の評価表導入のためEPOCに参加。ポートフォリオ評価を取り入れた。研修1年目第1ラウンド;病院と医師である事に慣れる、仕事になっているか、第2ラウンド;科を替わる、ローテートに慣れる、新しい環境に速やかになじむ、第3ラウンド以降、成果を出していく。1年目の成果とはEPOCのような羅列式だけでない、抽象的なoutcome評価も必要。Professionalism, Primary Careがどのくらいできているか、2年目に入って、1年目の医師を迎えたときにそれが見えてくるだろう。学習プロセスとして何がどう変わったか?プログラムや指導者が有効に機能したか。不足するものは、外来研修、救急から・入院からの一貫したケア 。
研修2年目の課題;地域医療研修をうまく走らせること。地域の中で卒後研修を捉える、地域で育てる。4人から一気に13人に増えることの大変さとメリット。スペース、目が行き届くか(メンター)、指導体制。進路指導、後期研修へ:諏訪日赤独自の後期研修プログラム、内科、外科、救急、学会専門医取得を目指す、社会人大学院入学を支援、信州大学医学部との協力関係、指導教授、医局の支援のある専門医。県全体としての進路相談と支援体制。
全体としての課題:医師が忙しがって面倒を見ない、特に内科では研修医の満足度が低い。専門医枠にローテートすることの限界。総合診療科で丸ごと面倒を見るシステムを模索。外科ではそれなりに満足;チーム医療があり、朝からやることがはっきりしている、手を動かすことの満足感などが要因と考えられた。病理解剖の不足あり。研修制度を円滑に動かしていくために、救急・総合診療に若い労働力を利用した病院のリフォームが必要。今後遠隔医学・医療、e-ラーニングにおいては個人情報保護が必要。若手医師を病院の中で大切に育てる文化は、一朝一夕には育たない、種を蒔き、水をやり・・・日々の努力である。
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