2.大地の子
山崎豊子作の「大地の子」の主人公陸一心(ルーイーシン)は、私より1ツ年下である。従って小学校1年で敗戦となる。私は一心が母と妹(父は出征中)と共に逃げてきたコース、佐渡開拓団跡を含め、ほとんど同じコースをたどってきた。
私たちは渡満して佐渡開拓団に約1年、その後鹿島台、耕野開拓団(宮城県出)に移り、ソ連参戦によって、勃利、林口、牡丹江そしてハルビンへとたどりついた。
一心は母を喪い、2人は孤児となり残留して生き延びた。後に日本の実父と再開するが養父母のいる中国にとどまる。その決断は苦悩の末、実父に「私は大地の子です」と告げた。その声は長江三峡の水しぶきと山頂から吹き渡る風の音となって消えていった。
私の父母は生きのび、私は日本に帰った。従って私は「大地の子」にはならなかった。では「日本の子」なのか?私は今でも「日本の子」にはなりきれない。なぜだろうか?